ベゴニアの内部構造をそっと覗いて見ましょう!
     
開花マラソンコンテストに参加されている皆様には、ミミヨリな情報です。
参加者の皆様からのご質問を拝見させていただきますと、咲き終わった花をどこから摘み取ればいいのか疑問をお持ちのようです。
いろいろな方法があって間違えている方法はまったくないのですが、ベゴニアを分解することによって内部構造からプロの秘技に迫ってみましょう。

参考にしていただければ幸いです。

しっかりしている株の中から一本だけ切り取ってみました。主茎がくの字型に曲がりながら伸びていて力強さを感じます。品種はバチックでほぼ完成品ですが、裏側から見ていますので花が少なく見えます。

側枝(そくし)は一番下が隠れてしまいましたが、4本出ているのがわかっていただけますか?最下位が左側にその上が右側にさらに左・右とあり、5段目から花だけが咲いている花枝が見えます。
この側枝は株を大きくするときに重要ですので、大切にします。側枝にたくさんの花が咲けば品質は向上しますが、主茎だけの花ではボリュームがありませんので、購入のときにはチェックしておきましょう。

品種にもよりますが、植物全体に花が満遍なく咲いているように見えるのは、この側枝の発達が十分かどうかによります。
どうぞ挑戦してみてください。
ちょっと可愛そうな気もしましたが、側枝と花枝を分解してみました。@〜Cまでの側枝はよく発達していて蕾をしっかりとつけています。あと2週間ほどで立派な花が咲いてくるでしょう。

見づらくなりますが、側枝Cの上からは花だけが咲いている花枝が見えます。ここから側枝がいきなり生まれることはありませんので、期待しないでください。

大切なことは、窓辺に置いたベゴニアをより大きくするためにこの側枝の生育を見つめてあげることもポイントの一つです。


たくさんの花を咲かせるためには主茎もがんばっていますが、側枝も一生懸命に主枝を支えながら花を咲かせていることがお解かりいただけましたでしょうか?
上の写真の左下にこんな落し物がありました。

そうです・・・赤ちゃんのような新芽です。

このようにきれいに切り取って挿し木をすると、また新しいベゴニアが生まれます。蕾がついていないことを確認して、川砂とピートモスの混合用土に挿し木してみましょう。

挿し木や花摘みをするときは、きれいなかみそりやカッターナイフを使いましょう。はさみでは植物の繊維がつぶれてしまい大きな障害をもたらします。
農場の事務室でしばらく観賞していたベゴニアの側枝を切り取り、花柄を摘み取ったあとの花枝はどのようになっているかを覗いてみました。

恵まれた生育環境(空気・水・栄養など)に置かれたベゴニアの側枝は主茎と同じように花芽を伸ばしながら成長していきます。
花枝の先端には新しい蕾が次々に生まれやがて開花します。この生育を繰り返すことによって株全体に花が咲きすばらしいベゴニアに育っていきます。
咲き終わりそうになった花柄は早めに摘み取ってあげることが、新しい蕾をどんどん育てるコツです。

ベゴニアの花びらはおしべとめしべが変化したものです。実際には生殖活動は行うことができなくなっていますが、花柄がいつまでもついていると体力を消耗するようです。
もうひとつ高度なお話をしましょう。
花柄摘みを繰り返していますと、写真のようにガク(ではありませんが)のようなものがたくさん残ります。写真では7段くらいですが、生育環境によって15段くらいまで伸びます。これも植物の体力を消耗させる原因ですので、10段以下で切り取るようにします。

最近ホルモン剤等を利用して花が落ちないように処理をしているベゴニアも見受けられますが、咲き終わった花を無理やりつけておいては植物の体力をどんどん消耗してしまいます。新陳代謝を促し植物の生理にあった環境を整えてあげることが、私たち栽培者の仕事と考えます。

花はペットと同じです。ベゴニアが喜びそうな環境を見つけてあげることは、私たちの楽しみでもあります。

ケンズガーデンでは小さな鉢の中にたくさんの
願いを詰め込んで皆様にお届けし、たくさんの花を咲かせていただこうといつも心がけています。
きれいなベゴニアが咲きましたらお便りをください。お待ちしております。